ITエンジニアの登竜門「基本情報技術者試験」を取得するメリットとは?
基本情報技術者試験とは、「ITエンジニアの登竜門」とも称される、情報処理技術者の「知識・技能」が一定以上ある証明になる資格です。国家試験であり、就職・転職にも活かせることもあります。
本記事では、基本情報技術者試験の概要や取得のメリット、必要な知識などについて紹介していきます。基本情報技術者試験の受験を検討している人は必見です。
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基本情報技術者試験とは?
「基本情報技術者試験」は「情報処理技術者試験」の一つです。「情報処理技術者試験」は経済産業省がITエンジニアとして知能や技能が一定以上の水準であると認定している国家試験です。
「情報処理技術者試験」には「基本情報技術者試験」の他に「応用情報技術者試験」といったさらに高度な知識を求められる試験に加え、専門的な知識を要求する9つの区分に分けられた試験も用意されています。
「基本情報技術者試験」はこうした「情報処理技術者試験」の中で最も基本的な内容で「ITエンジニアの登竜門」と称されている試験です。
出典:試験の概要|IPA 独立行政法人 情報処理推進機構
参照:https://www.jitec.ipa.go.jp/1_08gaiyou/_index_gaiyou.html
基本情報技術者試験の概要
「基本情報技術者試験」は毎年9万人から10万人近くが受験する人気の国家試験です。令和3年度には春期に約37,000人、秋期に約60,000人が応募しています。
試験内容は午前試験と午後試験に分かれており、午前試験はマーク方式による出題です。「バックドア」や「マルウェア」といったセキュリティーに関する用語についての認識を問う設問から、「仮想通貨のマイニング」、「クラウドファンディング」のような昨今注目されている新しい技術やサービスについての出題もされており、幅広い知識が要求されます。
午後試験では長文形式で、より具体的な実務を想定した設問が用意されています。「ソフトウェア開発会社がテレワークを導入する際のネットワーク構成」、「スーパーマーケットの弁当販売データを分析するCOBOLプログラム」といったネットワーク、セキュリティー、プログラミングなどに関する出題が一例です。
これらの出題が午前試験80問、午後試験は11問(うち解答は5問)あり、各100点満点で採点されます(※2023年4月から出題形式に変更が加えられます)。
出典:試 験 要 綱|IPA 独立行政法人 情報処理推進機構
参照:https://www.jitec.ipa.go.jp/1_13download/youkou_ver4_9_henkou.pdf
出典:情報処理技術者試験における出題範囲・シラバス等の変更内容の公表について|IPA 独立行政法人 情報処理推進機構
参照:https://www.jitec.ipa.go.jp/1_00topic/topic_20220425.html
どの機関が作っている試験?
「基本情報技術者試験」は経済産業省がITエンジニアとして一定以上の知識水準であると認定している国家試験ですが、「独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)」が運営しています。なお、IPAの所轄官庁は経済産業省となります。
また、試験問題は情報通信業、製造業に勤めている方、大学や研究機関で働く専門家など約450名からなる試験委員が作成しています。
試験委員は情報戦略・システム企画、システム設計・開発、システム監査といった業種の専門家が多く、さらに専門分野を絞るとセキュリティーや情報システムといった分野に従事されている方が多いのが特徴です。
どんな人が取る資格?
「ITエンジニアの登竜門」と称されるように「基本情報技術者試験」はシステムエンジニアやプログラマーとしてキャリアを築きたい方が取得するとメリットの大きい資格とされています。
試験勉強をすることでITエンジニアに必要な知識や技術が習得できるといったメリットだけでなく、就職や大学入試、大学での単位認定といった活用がされているため、ITエンジニアが「基本情報技術者試験」を取得するメリットは多岐に渡ります。
なお、すぐにiPhoneアプリを作りたい、仮想通貨マイニングをしたいといった、具体的に作りたいものがあり「基本情報技術者試験」の試験勉強で具体的なプログラミングができるようになると期待している場合には、試験勉強では期待にそぐわない可能性があります。
基本情報技術者試験取得のメリットや資格の使い道は?
試験制度発足から50年以上に渡り、日本のITエンジニアの知識や技術向上、企業や機関のモノサシとして「基本情報技術者試験」は利活用されてきました。
現在では学校、一般企業、官公庁、地方公共団体といった幅広い組織や機関で「基本情報技術者試験」が活用されており、ITエンジニアとして働く機関では多くの場合に資格所有によるメリットが受けられると言えます。
客観的な評価指標としての「基本情報技術者試験」
まず始めに、ITエンジニアとして基本的な知識や技術を習得している証明としての役割がメリットと言えるでしょう。
「情報処理技術者試験」の応募者数は延べ2,100万人を超えるため、その中でも人気の高い「基本情報技術者試験」はITに関する資格としてトップクラスの認知度を誇ると言えます。
前述の様々な組織や機関で利活用されている背景として、このような高い認知度や人気を誇る資格であることが一因となっています。
大学入試優遇や在学中の単位認定に活用
IPAによる発表では、入試優遇に「基本情報技術者試験」を活用している大学・短大は約186校、単位認定に活用しているのは約71校あり、受験料の補助や合格者に対する報奨金等の支給を行っている学校も数多くあります。
なお、上記の学校数はIPAのアンケート調査に対して公表が許可されている学校のみの数字となるため、実際にはさらに多くの学校が活用していると予想されます。
一般企業の採用や資格手当に活用
ITエンジニアとして就職・転職活動をする際の選考材料として、「基本情報技術者試験」はひとつのモノサシとして活用されているようです。
また、一部の企業では資格取得者に対して資格手当や合格時に報奨金を支払う制度を用意しています。企業がこうした制度を設ける背景には、社員育成の一環として「情報処理技術者試験」を通して知識や技術を体系的に学びスキルアップさせる狙いがあるようです。
基本情報技術者試験に必要な知識について
「基本情報技術者試験」で出題される設問は「テクノロジ系」「マネジメント系」「ストラテジ系」の3つの系統に加えて9つの大分類、さらに23の中分類、その中分類から各小分類へ分けられています。
IPAが配布するシラバスには100個以上の分類が記載されており、それぞれに理解すべきポイントが書かれているので受験の際には一度目を通しておくとよいでしょう。
専門知識ではなく、汎用的な幅広い知識が必要
「情報処理技術者試験」の中で最も基礎的な知識や技能が求められるのがこの「基本情報技術者試験」です。前述の通り、100個以上の分類からなる出題範囲となっており、満遍なくITエンジニアとして必要な知識を求められると言えます。
その中でも「テクノロジ系」は23の中分類のうち13の中分類が属しており、重要視されていることがわかります。「テクノロジ系」には「基礎理論」から始まり「コンピュータシステム」、「セキュリティ」、「ソフトウェア開発管理技術」までエンジニアリングに関する一通りの知識が出題範囲として取り込まれています。
試験区分はレベル別に分けられている
客観的な試験の難易度を示す指標として「情報処理技術者試験」にはレベルが存在します。「基本情報技術者試験」は4段階のレベルに分けられたうち、レベル2に該当します。
「基本情報技術者試験」の下のレベルに該当する資格に「ITパスポート試験」があり、同じレベル2には「情報セキュリティマネジメント試験」が用意されています。
難易度がさらに上がるレベル3に「応用情報技術者試験」があり、最難関のレベル4には「ITストラテジスト試験」や「データベーススペシャリスト試験」といった専門性の問われる資格が並びます。
基本を抑えれば応用可能
最終的には高い専門性が求められるレベル4の資格を目指す場合でも、レベル2の「基本情報技術者試験」は基礎を固める意味でも有用と言えるでしょう。
レベル4に該当する9つの区分は「基本情報技術者試験」で学ぶ23の中分類を深堀し、さらに高度な知識や技術を要求する資格です。
そのため、まずは「基本情報技術者試験」でそれぞれの分類の基礎を学んでおくことで、実務を通して経験した際に理解を早め、応用を利かせることが出来るのではないでしょうか。
基本情報技術者試験の合格率や勉強方法は?
ITエンジニアの登竜門、4段階のレベル分けのうち下から2番目の難易度、「基本」の試験など、一見簡単そうに思えてしまう資格かもしれませんが、実際の合格率はどのくらいなのでしょうか。また、資格取得に際してどのような勉強をすれば良いのでしょうか。
ここからは実際に資格取得を目指す方に有用な情報をお伝えします。
受験者の半数以上が落ちる難易度
ITエンジニアの登竜門として人気の高い資格ではあるものの、決して簡単に合格できる試験ではありません。
具体的な数字を確認すると、令和3年度春季には32,549人が受験し、合格者は13,544人、令和3年度秋季は受験者52,879人に対して合格者21,190人となっています。合格率は約40%と半数以上の方が不合格になる難易度です。
出典:統計資料|IPA 独立行政法人 情報処理推進機構
参照:https://www.jitec.ipa.go.jp/1_07toukei/toukei_r04a_oubo.pdf
出題範囲と設問の比率を把握
午前試験ではマーク方式で「テクノロジ系」「マネジメント系」「ストラテジ系」の3つの系統から出題され、「テクノロジ系」が多く重要視されていると紹介しました。多くの設問が出る「テクノロジ系」で点数を取れない場合は合格が難しくなるため、重点的に勉強、対策をすると良いでしょう。
午後試験では「情報セキュリティ」と「データ構造及びアルゴリズム(疑似言語)」が必須回答の設問で、個別プログラミング言語による出題など複数の設問から選択式の回答となっています。必須回答の設問があるため、この2つの分野をまずは確実に点数を取れるように対策しておくとよいでしょう。
なお、これらの出題範囲や形式は2023年4月より若干の変更が加えられるため、IPAの公式HPを参照ください。
過去問題は入手できる?
残念ながら「基本情報技術者試験」の過去問題はIPA公式HPでは配布されていません。しかし、多くの書籍やウェブサイトで過去問題が解答、解説付きで掲載されていますので、ご自身に合わせて入手してください。
過去問題を解き、設問のクセや出題傾向、解答の時間制限などに慣れておくことで本番の試験で実力を発揮できるように準備をしておきましょう。
申込方法やスケジュール、受験料について
「情報処理技術者試験」は試験区分によってスケジュールや申込方法が異なります。
さらに令和5年度より後述する現行の年2回、上期と下期に一定の試験期間を設ける実施形式から1年を通して試験を受けられる通年化が発表されています。
出典:情報処理技術者試験における出題範囲・シラバス等の変更内容の公表について|IPA 独立行政法人 情報処理推進機構
参照:https://www.jitec.ipa.go.jp/1_00topic/topic_20220425.html
令和4年度下期基本情報技術者試験のスケジュール
午前試験、午後試験で申込期間と試験実施期間に若干のズレがありますので注意してください。
また、試験実施期間内での複数回の受験はできません。一度試験に不合格となった場合は次回の試験に申し込む必要があります。しかし、後述する来年度以降の通年化により受験可能回数にも変更がありますので、そちらもご確認ください。
出典:試験実施概要(試験案内書)|IPA 独立行政法人 情報処理推進機構
参照:https://www.jitec.ipa.go.jp/1_02annai/r04-2fe_exam.html
試験科目 | 申込期間 | 試験実施期間 |
---|---|---|
午前試験 | 2022年9月1日(木)10時~2022年11月17日(木)23時59分 | 2022年10月1日(土)~2022年11月22日(火) |
午後試験 | 2022年9月1日(木)10時~2022年11月21日(月)23時59分 | 2022年10月1日(土)~2022年11月27日(日) |
免除試験 | 2022年9月1日(木)10時~2022年11月17日(木)23時59分 | 2022年10月1日(土)~2022年11月22日(火) |
申し込みはインターネットからのみ
受験を決めたら申込期間内にインターネットから予約を行いましょう。「基本情報技術者試験」の申込方法はプロメトリック株式会社のページからのオンラインによる試験予約のみとなっています。申込期間内になると該当のページから試験予約が可能になります。
受験料は税込7,500円で、午前試験または免除試験の予約時に支払う必要があります。午後試験の料金は午前試験予約時の支払いに含まれます。一度支払った受験料に関してはキャンセルを希望しても返還されません。
出典:試験実施概要(試験案内書)|IPA 独立行政法人 情報処理推進機構
参照:https://www.jitec.ipa.go.jp/1_02annai/r04-2fe_exam.html
令和5年度からの変更点
令和4年度下期の試験を最後に年2回の実施方式を終了し、新たに通年方式に変更がされます。受験希望者は「基本情報技術者試験」をご自身の都合に合わせて受験できるようになる他、出題数が減少することに伴い試験時間も短縮化されます。
これまでは上期、下期各1回ずつが上限だった年間の受験可能回数も増える予定とのことで、新たな申込方法や再受験規定、実施方式の詳細については後日発表される見通しです。
出典:情報処理技術者試験における出題範囲・シラバス等の変更内容の公表について|IPA 独立行政法人 情報処理推進機構
参照:https://www.jitec.ipa.go.jp/1_00topic/topic_20220425.html
ITエンジニアとしてキャリアを積むなら得られるメリットがたくさん
資格取得を目指して勉強をするだけでも幅広い知識が身に付き、合格すれば入試や単位取得、就職活動や就業後の手当といった報奨金も期待できる「基本情報技術者試験」、いかがでしたか。
これからITエンジニアを目指す方、既にITエンジニアとしてご活躍されている方、どちらのケースでも将来的に活かせる機会の多い国家試験と言えるのではないでしょうか。
この記事を参考に「基本情報技術者試験」を目指してみましょう。
Midworks おすすめの案件例
- 芝公園駅 / 港区月額80万〜90万円
- 新宿駅 / 新宿区月額70万〜90万円
- 本郷三丁目駅 / 文京区月額80万〜90万円
- 渋谷駅 / 渋谷区月額70万〜120万円
- 京橋駅 / 大阪市城東区月額100万〜200万円