業務委託契約で源泉徴収はされる?源泉徴収額の計算方法についても解説
業務委託契約とは、民法で規定される請負契約、委任契約(もしくは準委任契約)を合わせた概念です。報酬を支払う際に、年間所得に対してかかる所得税を差し引くことを源泉徴収と言い、個人が業務委託契約によって報酬を得る場合は、すべてが源泉徴収の対象ではありません。
本記事では、業務委託や源泉徴収の概要に加え、業務委託契約の源泉徴収額の計算方法などについて解説しています。業務委託の契約を結んでいる方は、確認しておきましょう。
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業務委託契約とその他の契約との違い
フリーランスとしてクライアントから仕事を受注する際には、業務委託契約を結ぶことが少なくありません。しかし、その契約の中身をよく理解しておかないと、トラブルの原因となります。
他にも請負契約や委任契約など、類似の用語もあるため、その違いを把握しておく必要があります。ここでは、フリーランスで契約することの多い契約について紹介します。
業務委託契約
業務委託とは、企業が業務の一部を社外の法人や個人に委託することです。その際に、委託する企業と委託される法人・個人で締結することが多いのが、業務委託契約です。
しかしながら、業務委託契約という名のつく法律は存在しません。業務委託契約は、民法で規定される請負契約、委任契約(もしくは準委任契約)を合わせた概念です。
業務委託契約の内容は請負契約や委任契約だけでは説明できない部分もあり、個別の契約書において取り決める必要があります。
出典:民法|e-GOV法令検索
参照:https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC0000000089_20220525_504AC0000000048&keyword=%E6%B0%91%E6%B3%95
請負契約
請負契約とは、受注者が業務を完成させることで報酬を受け取る契約です。
受注者は契約の期間内に成果物を提供する必要があります。途中まで仕事をしていたとしても、成果物を提供しなければ報酬は支払われません。
また、成果物に対しての責任を負うため、欠陥などがあれば修正する必要があり、場合によっては損害賠償を請求されることもあります。
請負契約を結ぶ例としてはソフトウェア開発、デザイン制作、建設工事などが挙げられます。
出典:民法|e-GOV法令検索
参照:https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC0000000089_20220525_504AC0000000048&keyword=%E6%B0%91%E6%B3%95
委任契約
委任契約とは、法律行為を委託する契約です。
例えば、「ハンバーガーを購入する」というのは、店と客との法律行為(売買契約)です。「ハンバーガーを購入する」という法律行為を友人に委任すれば、それは委任契約ということになります。
実際の委任契約の例としては、司法書士への不動産登記の依頼、弁護士への遺言書作成依頼、などが挙げられます。
委任契約の特徴は、受注した業務の遂行に対して報酬が発生することです。成果物に対しての完成責任はないため、成果物の質や結果とは関係ありません。
成果物を求められる請負契約との違いを押さえておきましょう。
出典:民法|e-GOV法令検索
参照:https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC0000000089_20220525_504AC0000000048&keyword=%E6%B0%91%E6%B3%95
準委任契約
準委任契約とは、法律行為以外の事務を委託する契約です。契約の特徴は委任契約と同じで、報酬も受注した業務の遂行に対して発生します。法律行為の委託か、それ以外の事務の委託か、が異なる点です。
事務とありますが、その内容は事務作業に限られるということではありません。書類作成やデータ入力といった事務仕事はもちろん、講演会の講師、医師の医療行為、警備員など、幅広い業務内容が当てはまります。
出典:民法|e-GOV法令検索
参照:https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC0000000089_20220525_504AC0000000048&keyword=%E6%B0%91%E6%B3%95
源泉徴収とは
年間の所得に対してかかる所得税を、報酬を支払う際に差し引くことを源泉徴収といいます。事業を行う企業は、基本的に従業員の給与から源泉徴収する義務があります。
源泉徴収された給与取得者は、すでに所得税を納めていることになるため、原則として確定申告する必要がなくなります。
業務委託契約で源泉徴収はされる?
個人が業務委託契約によって報酬を得る際は、すべてが源泉徴収の対象というわけではありません。
原稿料や講演料、弁護士などの報酬、診療報酬、プロスポーツ選手の報酬、テレビなどの出演料、宴会の接待報酬などが源泉徴収の対象とされています。これら源泉徴収の対象となる報酬でも、支払い側が源泉徴収義務がない場合は源泉徴収されません。
また、名目が「報酬」ではなく「謝礼、車代」などとなっていても、実態が報酬であれば源泉徴収の対象です。さらに、金銭だけでなく物品での報酬も源泉徴収の対象となります。
出典:No.2792 源泉徴収が必要な報酬・料金等とは|国税庁
参照:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2792.htm
業務委託契約の源泉徴収額の計算方法
業務委託契約に対する報酬からの源泉徴収額は、次のように計算されます。
報酬の100万円以下の部分には10.21%を掛けた額、100万円を超える部分には20.42%を掛けた額が源泉徴収額です。
例として、150万円の報酬を受け取る際の源泉徴収額を計算すると、次のようになります。
・100万円 × 10.21% + 50万円 × 20.42% = 204,200円
つまり、204,200円が源泉徴収されることになります。
なお、報酬の種類によっては、一部控除額の設定があるものがあります。
出典:令和4年版 源泉徴収のしかた|国税庁
参照:https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/shikata_r04/01.htm
業務委託契約での源泉徴収について理解しよう
フリーランスで業務委託契約から報酬を得た場合、確定申告する必要があります。
源泉徴収されていた場合、所得税額から源泉徴収額を差し引いた差額を支払うため、源泉徴収額を把握しておく必要があります。
支払調書という、一年間の源泉徴収額を記載したものを送付してくれるクライアントも多いですが、義務ではありません。払った税金がわかるように、自分で記帳しておくことが大切です。
業務委託契約の源泉徴収についてよく理解し、必要な情報はしっかりと記録するようにしましょう。
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