フリーランスが源泉徴収されなかった場合の対処法とは?基礎知識・納税のポイント
フリーランスで「源泉徴収をされない」場合は、自分で確定申告を行ってください。確定申告を怠れば自身の収入状況を証明できなかったり、延滞税が課されたりする可能性があります。
後々不利益を被らないためにも、源泉徴収の基礎知識やフリーランスが納税するためのポイントを理解しておきましょう。
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フリーランスが源泉徴収されなかったら?
フリーランスで源泉徴収されない場合は、自身で確定申告して税金を納める必要があります。
そもそも確定申告とは、納税者が1年分の所得税を自分で計算・申告して納める手続きのことで、年に1回、2月16日~3月15日の期間に行います。期間内に手続きができなかった場合、加算税や延滞税が課せられる可能性があるので注意が必要です。
フリーランスを目指している会社員の方、または、フリーランスになったばかりの方で、確定申告に慣れている方は少ないのではないでしょうか。多くの方が確定申告の経験が少なく、難しい内容や手続きに不安を持っているものです。
しかし、フリーランスではほとんどの場合、確定申告は避けては通れない道となります。確定申告直前になって1年分の計算に慌てることがないように、本記事で正しい知識を身に付けて、日ごろの事業に取り組むことが大切です。
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フリーランスが知っておきたい源泉徴収の基礎知識
そもそも源泉徴収とは、給与や報酬を支払う人が一定率の金額を天引きして預かり、納税者本人に代わって国に納める仕組みのことを言います。
確定申告して自分で納税するイメージのあるフリーランスですが、実は会社員と同じように、クライアントから源泉徴収されているケースは多くあります。天引きされて報酬が振り込まれるので、一見すると手取りが減って損をしたように感じる方もいるでしょう。
源泉徴収された分は、クライアントがフリーランスに代わってしっかりと納税してくれています。ここからは、フリーランスが知っておきたい源泉徴収の基礎知識を紹介します。
源泉徴収の対象となる業務
所得税法第204条の源泉徴収義務によると、源泉徴収の対象となる業務内容は下記の通り定められています。
・原稿料や講演料
・弁護士、公認会計士、司法書士などの特定の資格を持つ人に支払う報酬
・社会保険診療報酬支払基金が支払う診療報酬
・プロスポーツ選手、モデル、外交員などに支払う報酬
・映画、演劇、テレビなどの出演報酬や芸能プロダクションを営む個人に支払う報酬
・宴会などで接待するコンパニオンやホステスに支払う報酬
・プロ野球選手の契約金など役務提供の契約として支払われる契約金
・広告宣伝のための賞金や馬主に支払う競馬の賞金
フリーランスの活躍の場は幅広いため、上記の業務内容に該当しクライアントに源泉徴収されるケースは多くあると言えるでしょう。
出典:No.2792 源泉徴収が必要な報酬・料金等とは|国税庁
参照:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2792.htm
源泉徴収の計算方法
源泉徴収額を求める計算式は、報酬の金額によって異なり2種類の計算式があります。
ちなみに、報酬額とはクライアントから1度に支払われた金額を指します。クライアントからの合計の支払額ではないので注意してください。
ここからは、具体的な計算方法を紹介します。
報酬額が100万円を超えるパターン
報酬額が100万円を超える場合の計算式は以下の通りです。
・(報酬額-100万円)×20.42%+102,100円=源泉徴収税額
例えば、原稿料の報酬額が150万円の場合は、(150万円 - 100万円)×20.42%+102,100円=204,200円となります。100万円を超える部分の金額に20.42%が掛けられ、源泉徴収額を算出します。
出典:No.2795 原稿料や講演料等を支払ったとき|国税庁
参照:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2795.htm
報酬額が100万円以下のパターン
報酬額が100万円以下の場合の計算式は次の通りです。
・報酬額×10.21%=源泉徴収額
例えば、原稿料の報酬額が10万円の場合は10万円×10.21%=10,210円となります。報酬額が100万円を超える場合の税率は20.42%ですので、100万円以下の場合の税率はその半分となります。
出典:No.2795 原稿料や講演料等を支払ったとき|国税庁
参照:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2795.htm
消費税と源泉徴収の関係
源泉徴収は原則、消費税込みの報酬全額で計算されます。しかし、例外として「請求書に、報酬と消費税の額が明確に区分されている場合は、消費税を除いた報酬額を源泉徴収の対象として良い」とされています。
例えば、報酬額が税別20,000円、消費税2,000円としましょう。
請求書に「小計20,000円・消費税2,000円・合計22,000円」と記載した場合は、20,000円×10.21%=2,042円です。
請求書に「合計22,000円」と記載した場合は、22,000×10.21%=2,246円(※1円未満は切捨て)になります。
上記を比べると差額が204円あり、報酬額は同じ22,000円でも支払う税額に差が出てきます。
このように請求書に消費税を明記することで、報酬額のみに対して源泉徴収額を計算できます。消費税を別に明記できるようなフォーマットを作成すると良いでしょう。
出典:No.6929 消費税等と源泉所得税及び復興特別所得税|国税庁
参照:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6929.htm
特別復興税と源泉徴収の関係
源泉徴収される税の種類は所得税と特別復興税で、これら2つが合わせて徴収されています。
特別復興税は東日本大震災をきっかけとして、2013年から導入されました。被災地復興の財源確保を目的として、2037年まで課税されることになっています。
特別復興税は、源泉徴収の計算方法で紹介した税率の中にすでに含まれているものです。
出典:No.6929 消費税等と源泉所得税及び復興特別所得税|国税庁
参照:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6929.htm
源泉徴収する税の納付方法・納付期限
源泉徴収して税金を預かっているクライアントが、報酬の支払い月の翌月10日までに管轄の税務署に納税します。
例えば、9月25日に支払われた報酬に対する源泉徴収分は10月10日までに納める決まりです。代表的な納付方法は、金融機関の窓口での手続きや、e-Taxを利用する方法があります。
また、クライアントの会社規模が小さい場合は、源泉徴収した税を半年分まとめて納付できる特例もあります。
出典:No.2505 源泉所得税及び復興特別所得税の納付期限と納期の特例|国税庁
参照:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2505.htm
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フリーランスが源泉徴収されなかった場合の対処法
源泉徴収された分は、クライアントが代わりに納税の手続きをしてくれています。しかし、源泉徴収されなかった場合は、税金の清算がすんでいません。
ここでは、源泉徴収されなかった場合に必要な手続きや注意したいポイントについて解説します。
これからフリーランスとして幅広く活躍される方は、源泉徴収されない取引も出てくる可能性もあるため、参考にご覧ください。
確定申告して納税しなくてはならない
源泉徴収されなかった分手取りが増えて嬉しい、と感じますが、源泉徴収されていないということは税金の清算ができていないことになります。
源泉徴収されなかった場合は、必ず確定申告して自分で納税しなくてはなりません。
出典:確定申告が必要な方|国税庁
参照:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tebiki2017/a/01/1_06.htm
自分で源泉徴収額を計算する
クライアントから源泉徴収されなかった以上、自分で源泉徴収額を計算するほかありません。次の2点に注意して源泉徴収額を計算しましょう。
・報酬額が100万円を超えるか否か
・請求書に消費税が明記されているか
上記の条件しだいで、計算式や源泉徴収の計算に含める報酬の範囲が変わってきます。よく確認したうえで計算しましょう。
確定申告の際には源泉徴収額を明記する
確定申告は、源泉徴収されなかった分を納付するためだけに行う手続きではありません。年間で源泉徴収された分、されなかった分のすべての報酬をふまえて、年間の税金額を算出します。
その際、すでに源泉徴収されて支払済みの税金分に関しては、確定申告する際に自分で申告しないと計算に考慮されません。支払分の税金を申告し忘れると、二重で税金を払うことになり損をしてしまいます。
確定申告書には源泉徴収額の記載欄があるため、源泉徴収された分の金額を明記しましょう。すると、すでに納めた分の税金が考慮されたうえで、過不足が計算されます。
源泉徴収が必要でないパターンもある
フリーランスのすべての取引が源泉徴収されるわけではありません。源泉徴収の対象となる業務は決まっていますので、対象外の業務であれば源泉徴収はされません。
また、クライアントが個人事業主で人を雇っていない場合などは、取引業務の内容に関わらず源泉徴収はしなくても良いとされています。
源泉徴収されなかった場合はクライアントに確認する
源泉徴収されなかった場合、考えられる理由は次の3つです。
1.クライアントが源泉徴収し忘れたケース
2.クライアントが個人事業主で、源泉徴収が義務付けられていないケース
3.取引業務が源泉徴収の対象範囲外のケース
どういった理由で源泉徴収されなかったのか、クライアントに確認しておきましょう。正しく納税するためには相互の認識を確認することが必要です。
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フリーランスがスムーズに納税するためのポイント
ここからは、フリーランスが常日ごろから気を付けたい納税のためのポイントを3つ紹介します。納税はフリーランスとは切っても切れない関係にあります。
避けて通ることができないことですので、フリーランスになった後に、納税で困ることがないよう事前に確認しておきましょう。
源泉徴収額を明記した請求書を作成する
請求書には報酬額(小計)、消費税、源泉徴収税額、合計の4つを明記すると良いでしょう。
源泉徴収額が記されていない合計額のみの請求書の場合、クライアントが徴収を忘れる可能性があります。必ずしも請求書に明記するルールはありませんが、トラブルを未然に防ぐためにも有効な手段です。
自分で源泉徴収額を管理する面でも、源泉徴収額が明記された請求書は役に立ちます。請求書を見れば一目で税額が分かるので、分かりやすい管理方法です。
支払調書の発行をクライアントに依頼する
支払調書とは、報酬を支払った企業や個人事業主が発行する書類で、年間の報酬額や源泉徴収額が記載されています。
支払調書を見れば、そのクライアントが前払いとして納めてくれた源泉徴収額が分かるので、確定申告の時に大変便利です。クライアントに依頼して、確定申告の前に支払調書を発行してもらいましょう。
しかし、支払調書の発行はクライアントの義務ではありません。発行に応じてもらえない場合もあるので、やはり自分で源泉徴収額を管理することも大切です。
事前にクライアントとルールを決めておく
契約する前に、源泉徴収の有無や請求書の項目についてクライアントとルールを決めておきましょう。
フリーランスは、自分の身は自分で守らなくてはなりません。のちにトラブルになりうる要素は事前に十分相談することが大切です。
心配事のない状態で契約すれば、仕事でも良いパフォーマンスを発揮でき、フリーランスとしてさらに活躍していけるでしょう。
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フリーランスが源泉徴収されなかった場合の対処法を理解しておこう
この記事では、源泉徴収の基礎知識やフリーランスが注意すべき納税のポイントについて解説しました。
フリーランスになれば税金について自分で理解し、納めなければなりません。知らなかったではすまされないのが税金です。
この記事を参考に源泉徴収の仕組みを正しく理解して、フリーランスとして自信を持って活躍していきましょう。
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