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更新日:2020年12月29日

エンジニア不足の原因とは?|IT業界の課題と現在行われている対策

記載されている内容は2020年12月29日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。また、記事に記載されている情報は自己責任でご活用いただき、本記事の内容に関する事項については、専門家等に相談するようにしてください。

情報社会を支えるエンジニア不足が深刻になっています。なぜエンジニア不足になっているのか、その対策など知らない方も多いのではないでしょうか。本記事では、アメリカのエンジニアとの比較も行いながら、日本のエンジニアにおける現状と将来性について説明します。

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エンジニア不足になってしまっている理由

エンジニア不足の原因とは?|IT業界の課題と現在行われている対策
情報社会を支えるエンジニア不足が深刻になっています。

経済産業省が2016年に発表した「IT人材の最新動向と将来推計に関する調査結果」によると、今後はさらに深刻化して2030年には79万人が不足する事態になるとのことです。
同調査では「IT分野でのさらなる市場成長を促進するためには、不足人材の充足が喫緊の課題」と述べています。

しかし、今後のIT人材の活用・確保に向けた方策はあるものの、エンジニア不足が解消に向かっていることを示すデータは現時点で上がっていないようです。

ではなぜこのような事態になってしまったのでしょうか。いくつか理由をピックアップしてみましょう。

エンジニア不足になっている3つの理由

「新3K」のネガティブイメージ

近年におけるエンジニアの仕事は「新3K」と呼ばれています。
新3Kとは「きつい」「厳しい」「帰れない」です。

2000年前後のいわゆるインターネット革命が起きた頃にはIT業界自体が「かっこいい」「最先端」などといったイメージで括られていたものですが、時代は変わってしまったようです。

業界から聞こえてくる話は「コストの削減」「納期の短縮」「長時間労働」といったものが多く、おまけにそれがネットで拡散されて、すっかりネガティブイメージが定着してしまいました。

エンジニアの賃金は安いのか?

仕事が過酷なわりに年収が低いというのが大きな問題です。

最近は大手インターネット企業やベンチャー企業を中心にエンジニアに高給を支払う企業も増えてきましたが、それはあくまで氷山の一角でしかありません。

IT業界は「多重下請け構造」であり、ピラミッドの頂点にいる元請けから二次請け、三次請けと下に行くに従ってエンジニアの人数が増え、単価が低くなるという構造になっています。
そのため元請けと下請けではどうしても所得格差が生まれてしまうのです。

IT技術の進化スピードが速すぎる

現在、Web業界やIT業界の拡大とともに、各企業は事業の幅を広げている状況です。

特にWebアプリやIoT技術の発展は目を見張るものがあり、エンジニアにしてみれば最新の技術を習得しても習得した瞬間からその技術が古くなっていってしまうのですから、キリのなさに嫌気がさしてしまうのも無理はないでしょう。

スキルの習熟が業界の進化に追いつかず、追いつくためには高い意識を持って日々勉強に取り組まなければなりませんが、勉強したところで単価が上がらず遅くまで仕事をしなければならないわけですから、エンジニアが不足しているという現状は致し方ないのかもしれません。

エンジニア不足を改善するために必要なこと

エンジニア不足の原因とは?|IT業界の課題と現在行われている対策

経済産業省の提言

先述した経済産業省の調査結果によると、現在のIT人材の活用・確保に向けた方策は以下の5つになります。

・より多様な人材(女性、シニア等)の活躍促進
・人材の流動性の向上(高付加価値領域への戦略的人材配置)
・個々のIT人材のスキルアップ支援の強化
・IT人材への処遇やキャリアなど、「産業の魅力」の向上
・先端IT人材、情報セキュリティ人材、IT起業家などの重点的な育成強化

同省はIT業界の研究・報告を定期的に実施し、現状や課題の把握にも余念がないようにも見えますが、そういった同省の提言を踏まえた上で、今回はその中から3点をピックアップしてみたいと思います。

エンジニア不足改善のために今後必要な取り組み

多様な人材の活躍支援

経済産業省の調査結果にあった、多様な人材(女性、シニア等)の活躍促進をまず挙げてみたいと思います。これは同省だけではなく、様々な企業で検討された案でもあります。

同省の調査によると、女性やシニアを採用することによって人材不足が解消されたという結果が出ています。
また女性の場合は「職場が活性化する」、シニアの場合は「ノウハウの継承が可能になる」というメリットも報告されています。
これは女性の人材が職場環境の改善をもたらす可能性があることと、シニアの人材が人材育成に好影響を及ぼす可能性があることを意味していますが、それと同時に「新しい業務知識や技術への対応力が低い」「人件費が高い」「離職率が高い」といった課題も出たようです。

よって、それ相応の課題を企業と人材の両者が克服しなければいけないことになります。

小学校からのIT教育

2020年よりプログラミング教育が小学校で必修化されました。
もちろん教育というのは難しいので一朝一夕にはIT教育の方法を確立することはできません。

しかし、子供たちの関心を増やす機会を作ることはできるはずです。

試験や専門的な授業のような場ではなく、子供たちが夢中になれるような遊びやゲームというものを通してITに触れる機会を増やし、プログラミング等に対する抵抗を少しでも少なくすることが大切です。

そしてそのように教育された大人が増えることでエンジニアへの世間一般の関心も増えると考えられます。

エンジニアの待遇改善

結局のところ、最も必要になるのは待遇の改善です。

経済産業省が同じ2016年に公表した「IT人材に関する各国比較調査結果報告書」によると、「給与・報酬に対する満足度」が日本はワースト1位となっています。

また、「給与・報酬に対する満足度」「この仕事は人気がある(就きたい人が多い)」「この仕事が好きである」「仕事の充実感・やりがい」「労働時間」「自分の仕事の成果に対する評価」「会社の教育・研修制度や自己研鑽支援制度に対する満足度」といった項目すべてにおいて、アメリカのIT人材と比較すると大幅に下回る結果になっています。

エンジニア不足を補うのであれば何よりも待遇の改善が必要なことは間違いないでしょう。

エンジニア不足改善のために既に進んでいるパッケージの活用

エンジニア不足の原因とは?|IT業界の課題と現在行われている対策
エンジニア不足の改善には、関連する様々な要素を1つにまとめたパッケージを導入するという方法がまず挙げられます。

日本の企業のなかには、システムの開発をするのにゼロから行うという理念を持った企業が多く見られますが、ゼロから作ることは自由に作れるというメリットがある反面、必要になるエンジニアの数も多くなるというデメリットをもたらします。

パッケージの導入はエンジニア不足の改善だけではなく、導入にかかる時間の短縮といった長所もあるため、近年では導入に踏み切る企業の数が増えているようです。

オフショア型の活用

オフショア型とは海外の開発会社や海外子会社にアウトソースすることです。近年では特に東南アジアでオフショア開発をする日本企業が目立っているようです。

オフショア型のメリットは、国内でエンジニアが不足していても、海外に目を向ければ多くのエンジニアを見つけることができるという点です。

言語の違いなどから海外企業をうまく使えないというイメージもありますが、日本に本社がある企業を使用することでそういった問題点は解決できるようです。

また、ベトナムなどの東南アジアであれば距離も比較的遠くはありませんし、日本企業に合わせて仕事をしてくれるという事例も増えています。

ニアショア型の活用

ニアショア型とは、国内の地方開発企業と連携して開発を進めていくというやり方のことです。

一般的な企業の場合、東京の中心部に会社を設立してそこで開発などの業務を進めることになりますが、そのやり方だと都内にいるエンジニアしか活用できなくなるという問題点がありました。

2012年に日本ニアショア開発推進機構(以下「ニアショア機構」)が設立され、ニアショア機構がユーザー企業と元請け企業との間に入ることにより、都内の企業が地方の企業に円滑に発注することができるようになりました。
現在では地方に目を向ける企業も増え、ニアショア機構がエンジニア不足に一石を投じた形となっています。

インターンシップの活用

多くの企業が即戦力となるエンジニアを求める傾向にありますが、中途採用で採用した人材の場合はもとからその会社に帰属していたわけではないので、自社への帰属意識が少ないことも十分に考えられます。

やはり会社としては優秀な人材を長期的に確保することが大切になりますので、自社への帰属意識を育てるという目的を重視するのであれば新卒採用の強化という選択肢を選ぶ必要があるでしょう。

インターンシップは自社がどのような会社なのか知ってもらえるというメリットがあり、実際に会社で働く人たちと触れ合うことで入社後の人間関係をイメージしやすくなります。

会社に長く留まってもらうためには仕事の内容だけではなく、そういった人間関係といったポイントも重要視する必要があります。

エンジニア不足を解消するのであれば長期的な視点で考えて、インターンシップを活用するのも解決法の1つと言えるでしょう。

日本のエンジニアがアメリカのエンジニアより給与が低い理由

エンジニア不足の原因とは?|IT業界の課題と現在行われている対策
日本のエンジニアの賃金が低いということは先述のとおりになりますが、参考までに高収入と言われるアメリカのエンジニアについてみてみましょう。

日本とアメリカのエンジニアの平均年収

まずは日本とアメリカのエンジニアの平均年収を見てみます。

・日本:535万円
・アメリカ:1,002万円

年収500万円前後に集中している日本に対して、米国では年収1,000万円から2,000万円台に広く分布しており、米国の平均年収は日本の2倍近くに達しています。
ではなぜ日本とアメリカの間でこのような差が生じるのでしょうか。

アメリカのエンジニアが高収入である理由

アメリカのエンジニアが高収入なのは、エンジニアという職業の社会的地位が高いからに他なりません。
日本ではエンジニアになるのに学歴といった規定は特に存在せず、勉強をすれば文系学部の出身でも、大学を卒業していなくても、誰でもエンジニアになることが可能です。

しかし、アメリカではそうはいきません。

アメリカでエンジニアになるには大学や大学院で専門的に学んだ上でエンジニアになる傾向が高いです。
そして、エンジニアを目指す人材の多くが博士号を取得します。つまり誰にでもなれる職業ではないのです。

また、アメリカは能力主義の社会でもあり、日本よりも安定雇用という概念が薄いという特徴があります。
そのため、能力のある人材は積極的にフリーランスになることでさらに給与が上昇し、上記のようなデータになるものと考えられます。

近年こそゲームや携帯コンテンツといった分野の開発で高給を得るエンジニアが出現するようになりましたが、業界全体としてみればまだまだ環境は整備されていないというのが現状です。

IT業界の現状

エンジニア不足の原因とは?|IT業界の課題と現在行われている対策
IT技術が私たちの生活に不可欠な存在になって久しいですが、IT業界は深刻な人手不足に陥っています。
特にエンジニアの不足はIT企業にとって死活問題となりつつあります。

そして近年の総務省の統計を見ると、エンジニアの不足は学生の就職活動という観点からも2つのパターンに分類することが可能です。

IT業界への就職率の低さ

IT技術の需要が増える一方、IT業界に就職を希望する学生の数が増えていないという現実があります。
大学を卒業する学生が年に60万人前後いる中で(文部科学省)、IT業界に就職する新社会人の数は10%未満というデータになっていますので、これはかなり少ない数字と言うことができます。

情報通信業 入職率14.4%、離職率11.8%
原因としては、IT業界のビジネスモデルが学生に伝わっていないことが挙げられます。
つまり学生のイメージの中でITサービスと運営会社が繋がっていないということです。
IT企業自体が何をしている会社なのか分からないわけですから、就職してどのように働くことになるのかというビジョンを描きづらいのも当然です。

また、IT業界についてある程度見識がある学生がいたとしても、IT業界を新3Kというステレオタイプなイメージで見ている可能性も十分にあり、そういった場合は当然他の業界を志望することになると考えられます。

IT業界からの離職率の高さ

H30年の全体の離職率14.6%(厚生労働省H30年「入職と離職の推移」)に対して、IT業界の離職率は11.8%(厚生労働省「平成30年雇用動向調査結果」)に留まりました。

しかし、上記データと実際の現状がどうも違う、と感じてしまう方もおられるのではないでしょうか。

実際には、大手企業の離職率が低い一方、中小企業の離職率が高くなっています。
そのため、一概に離職率の平均値から現状を把握はできないのです。

離職の理由は様々なものが考えられます。

中には新3Kという理由を挙げる人もいるかもしれません。
きつい、厳しい、帰れないが新3Kですが、とりあえず帰れないは除外するとして、その中の2つであるきつい、厳しいがなぜそう感じるのかを考える必要があります。

まず結論から先に言うと、大学の延長線上に仕事がないということが挙げられます。
IT業界での仕事において、大学で学んだことを活かす場面がないということです。
これは企業が求めているスキルを大学で学ぶことができていないミスマッチを意味しています。
先述したアメリカのエンジニアのように、大学や大学院である程度専門的に学び、狭き門をくぐってエンジニア職に就くのとは大きな差です。
そして今の日本社会、IT業界がアメリカのシステムを取り入れるのはなかなか難しいので、残念ながら当面の間は学生と企業の間でのミスマッチが続くものと思われます。

IT業界の将来性

エンジニア不足の原因とは?|IT業界の課題と現在行われている対策
エンジニア不足をはじめ、課題も多いIT業界ですが、今後もITが担う役割は増えていくと考えられています。
世界中で進むIoT、ビッグデータ、ロボット、AI分野による技術革新と進化は依然として続いていますが、それを支えているのもやはりITです。
また政府がITを重要な成長戦略の一つとしてきたことを考えれば、今後の日本の成長を担うのは間違いなくIT業界だと言えるでしょう。

そして気になる人材不足ですが、外国人技術者に期待が高まっています。
2014年に安倍政権は高度な技術を持つ人材や専門分野での人材を確保するため、外国人労働者の受け入れを拡大する方針(技能実習制度推進事業運営基本方針)を示しました。
厚生労働省によると2019年の時点での外国人労働者を雇用している事業所数は242,608カ所で前年比12.1%の増加となりました。また、外国人労働者数も1,658,804人となり13.6%の増加となっています。今後さらに外国人労働者の雇用が活発化する見込みとなっています。
IT業界に絞って見ると、グローバル化が進む日本企業の中でも特にIT企業において人材需要が高まっているのがわかります。
つまり、政府がエンジニア不足を解消するために外国人IT人材の受け入れを推進していることは事実であり、オフショア開発が拡大するとともに低コストで高い技術を持ったIT人材がさらに求められているということになります。

もしかしたら今後IT企業は国籍を問わずに優秀な人材を選ぶようになる可能性もあり、そうなると職を失う日本人のIT技術者も増えるかもしれません。

ただ、そのような雇用体系を実現させるにはIT企業側も大幅な人材評価基準の再構築をする必要があり、優秀な人材を確保するために国際的な人材評価基準を明確に設定する可能性もあります。
もちろんこれは日本のエンジニアにとっても国内にいながら自分の能力を国際基準で評価できるようになるというメリットがあります。

これからのIT業界は国際化の方向へ向かうことは間違いなく、エンジニアだけでなくあらゆる職種で、国際的な基準を身につけ、応用可能なスキルを身につけることが大切となるでしょう。

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