フリーランスが扶養内で働く上で気を付けるべきこととは?メリットも解説
フリーランスが不要内で働くメリットは、社会保険料を下げられる、節税になるなどが挙げられます。もし扶養から外れてしまうと、支払う税金等により扶養内で働いていた場合よりも損してしまう可能性があります。しっかりと扶養の仕組みについて確認しましょう。
本記事では、扶養の基本的なしくみや扶養控除の対象となる条件、フリーランスが扶養内で働くメリット・デメリットについて解説しています。フリーランスで扶養内に抑えたい方は是非参考にしてみてください。
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扶養の基本的なしくみとは
「扶養」は自分で生計を立てられない人に経済的な援助をして、面倒を見るという意味です。フリーランスが扶養内で働く場合、「税法上の扶養」と「社会保険上の扶養」の2種類があります。
税法上の扶養は所得税上で扶養になることで、社会保険上の扶養は病気やケガ等をした際に保険給付が行われる被扶養者になるというものです。それぞれがどのようなものなのか、詳しく見ていきましょう。
出典:No.1180 扶養控除|国税庁
参照:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1180.htm
税法上の扶養
「税法上の扶養」は「扶養控除」と呼ばれており、納税者に所得税法の第八十四条(扶養控除)に定められた通りの控除対象扶養親族がいた場合に一定の額を控除するというものです。
扶養控除の対象となるにはいくつか条件があります。扶養控除の額は一般の控除対象扶養親族で38万円、特定扶養親族は63万円、老人扶養親族は48万円(同居の老人扶養親族等58万円)控除されます。
出典:所得税法|e-Gov法令検索サイト
参照:https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=340AC0000000033
社会保険上の扶養
「社会保険上の扶養」は被保険者ではないが、ケガや病気等で保険給付が行われることを指します。
社会保険には協会けんぽと健康保険組合の2つがありますが、ここでは協会けんぽの例を紹介します。被扶養者の対象となるのは、生計を共にしている被保険者の配偶者および3親等の親族です。これらが必ずしも同居していなくても構いません。
所得税法上の扶養と社会保険上の扶養は同義ではないということに注意しましょう。社会保険上の扶養の方が対象範囲が幅広いため、社会保険上の扶養であっても税法上の扶養にならないケースがあります。
出典:被扶養者とは?|協会けんぽ
参照:https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/cat320/sb3160/sbb3163/1959-230/
扶養控除の対象となる条件
所得税上の扶養控除には「扶養親族」と「控除対象扶養親族」の2種類があり、対象となるにはいくつか条件があります。
ここからは、所得税上の扶養となる扶養親族と控除対象扶養親族の条件について詳しく紹介していきます。扶養にあたるかどうか、どちらの扶養になるか分からない場合はこちらを参考にしてみてください。
出典:No.1180 扶養控除|国税庁
参照:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1180.htm
扶養親族である
税法上の扶養の対象である「扶養親族」となるのは、納税者の配偶者以外の6親等内の血族または3親等内の姻族や里子などであり、納税者と生計を一にしていて年金合計所得額48万円以下の人のことです。
扶養親族として扶養控除の対象となるかどうかは、該当の年の12月31日の時点で以上の要件を満たしていなければなりません。もし年の途中で納税者自身が亡くなっていた場合や日本から出国していた場合には、その死亡時や出国時の時点で判断されます。
出典:No.1180 扶養控除|国税庁
参照:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1180.htm
16歳以上である
扶養親族の中でも16歳以上の扶養親族は「控除対象扶養親族」です。16歳かどうかは、その年の12月31日時点で16歳以上になっているかどうかで判断します。
扶養親族と控除対象扶養親族とでは所得税の控除額に違いがありますが、老人扶養親族の場合は同居の有無によっても控除額が変わります。老人扶養親族が病院へ長期入院していても同居と認められますが、老人ホームへの入居は同居と認められないので注意しましょう。
出典:No.1180 扶養控除|国税庁
参照:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1180.htm
フリーランスは事業所得がボーダーライン
扶養親族となる条件の1つには、年間の合計所得額が48万円以下というものがあります。フリーランスの場合には、営業収入から必要経費を引いた事業所得額によって扶養親族となるかどうかが決まるでしょう。
配偶者特別控除を受ける場合は、納税者本人の年間合計所得額が1,000万円以下で納税者本人と生計を一にしており、年間合計所得額が48万円~133万円以内であることが条件になります。
また、白色申告の事業専従者ではない点や、青色申告の事業専従者で給与支払いがないことなども条件です。
出典:No.1195 配偶者特別控除|国税庁
参照:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1195.htm
扶養内でも確定申告は必要?
確定申告が必要になるフリーランスは、基本的に年間の合計所得が48万円以上の人です。
したがって、フリーランスとして働いていても確定申告が必要でないケースもあります。ただ他に給与所得があってフリーランスとして副業をしている人の場合は、収入が20万円以上で確定申告が必要になります。
確定申告が必要ない人であったとしても、青色確定申告をすることで支払う税金や国民健康保険を軽減できる場合があります。そのため、確定申告をするかどうかはそれらも考慮して検討してみましょう。
出典:個人事業主の確定申告はいくらから?48万円以上の人は必須。48万円以下でも申告すればメリットがあります|アウル税理士法人
参照:http://kaikei.management/?p=1770
フリーランスが働き損しないためには?
もし扶養内におさまらない収入を得てしまうと、支払う税金等により扶養内で働いていた場合よりも損してしまう可能性があります。
働き損にならないためには、扶養親族の場合は年間の合計所得額を48万円以下に抑え、配偶者特別控除を受けたい場合は合計所得額を48万円~133万円以下に抑えましょう。
合計所得額は営業収入から必要経費を引いた額で計算します。そのため、営業収入自体は48万円や133万円を超えていても問題ありません。
出典:No.1180 扶養控除|国税庁
参照:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1180.htm
出典:No.1195 配偶者特別控除|国税庁
参照:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1195.htm
フリーランスが扶養内で働くメリット
フリーランスとして扶養内で働くことを検討した場合、どうしても年間の合計所得額に注意を払って仕事を続けなければならなくなります。そこまでして扶養内で働くことには、どのようなメリットがあるのでしょうか。
ここでは、フリーランスが扶養内で働くメリットをまとめてみました。フリーランスとして扶養内で働くかどうか迷っている場合は、どんなメリットがあるのかについて知っておきましょう。
社会保険料を下げられる
通常フリーランスとして普通に働いた場合は、自分で国民健康保険料や国民年金保険料などを支払う必要があります。しかし、扶養の状態で配偶者の社会保険に加入できれば、支払うべき保険料を軽減できます。
扶養を越えて働き社会保険料を支払うよりも、扶養内での仕事に抑えて社会保険料を軽減した方が結果的にお得なケースもあるでしょう。
出典:被扶養者とは?|協会けんぽ
参照:https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/cat320/sb3160/sbb3163/1959-230/#7-a
節税になる
フリーランスとして扶養内で働くと、納税者の所得税を扶養控除や配偶者特別控除などの控除で節税できるというメリットがあります。
16歳以上の扶養親族である控除対象扶養親族から老人扶養親族までで最高58万円の控除が、配偶者特別控除では納税者の合計所得額と扶養の配偶者の合計所得額によって配偶者特別控除の額が決まります。
また、所得税とは別に住民税の扶養に入っていれば住民税も節税可能です。住民税の場合は、フリーランスとして年間の合計所得額が45万円以下で非課税になります。
出典:No.1180 扶養控除|国税庁
参照:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1180.htm
出典:No.1195 配偶者特別控除|国税庁
参照:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1195.htm
出典:税の申告 よくある質問|杉並区
参照:https://www.city.suginami.tokyo.jp/faq/zeikin/shinkoku/1003489.html
フリーランスが扶養内で働くデメリット
フリーランスが扶養内で働くことで社会保険料や税金面で有利になりますが、デメリットもあります。
ここからは、フリーランスが扶養内で働くことにどんなデメリットがあるのか紹介します。フリーランスとして扶養内で働くかどうか迷っている場合は、メリットとデメリットを比較してどちらにするか選んでみましょう。
税法上の扶養内で働くと稼げない
扶養の範囲内でいるためには扶養親族で年間合計所得金額が48万円以下、配偶者特別控除でも48万円~133万円以下の年間合計所得金額に抑えなければなりません。
フリーランスとしてバリバリ働きたい、ガッツリ稼ぎたいと考えている人にとっては、扶養内に抑えるということ自体がデメリットになるでしょう。
出典:No.1180 扶養控除|国税庁
参照:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1180.htm
出典:No.1195 配偶者特別控除|国税庁
参照:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1195.htm
扶養内で働くメリットとデメリットを理解して働き方を決めよう
フリーランスが扶養内で働くことには、税法上や社会保険上でメリットがあります。しかし、扶養内での働きにとどめるということは逆に年間の所得額が限られ、大きく稼げないというデメリットも生じてしまいます。
フリーランスとして扶養内で働くかどうか迷っている場合はメリットとデメリットを理解し、どちらが自分にとって良いのか比較して選ぶことが大切です。この記事で紹介したメリット・デメリットをしっかり把握しておきましょう。